『エヴァーグリーン・ゲーム』はチェスが題材のエンタメ小説!

世界的な人気を誇り、競技人口は8億人以上ともいわれる「チェス」ですが、日本では競技人口2万人あまりとマイナーな存在です。そんなチェスを題材としたエンターテインメント小説『エヴァーグリーン・ゲー』が、第12回ポプラ社小説新人賞を受賞し、11月1日(水)に発売されました。




 


エヴァーグリーン・ゲーム

著者:石井仁蔵
発売日:2023年10月
発行所:ポプラ社
価格:1,870円(税込)
ISBNコード:9784591179437


 


『エヴァーグリーン・ゲーム』に登場するのは、世界有数の頭脳スポーツ「チェス」と出会い、そのおもしろさに魅入られた4人の若者たちです。彼らはそれぞれに重荷を背負いながら、チェスを通して己の人生と戦っていきます。青春、覚悟、情熱、矜持、夢、死闘……。チェスの魅力にとりつかれた4人は、チェスプレイヤー日本一を決めるチェスワングランプリに挑むことになります。


「勝つために治せよ、絶対に」
難病で入院生活を送る小学生の透は、小児病棟でチェスに没頭する輝と出会う――。

「年齢より才能より、大事なものがある。もうわかってるだろ?」
チェス部の実力者である高校生の晴紀だが、将来プロを目指すか悩んでいる……。

「人生を賭けて、ママに復讐してやろう」
全盲の少女・冴理は、保健室の先生に偶然すすめられたチェスにハマる。

「俺はただ、チェスを指すこの一瞬のために、生きている」
天涯孤独の釣崎は、少年院を出たのち単身アメリカへわたる。マフィアのドンとチェスの勝負をすることになり……!?

▼人気イラストレーター・げみさんによる、キャラクターのビジュアルカットがこちら。登場人物4人の手に持ち駒を持たせた、それぞれの特徴や雰囲気が絶妙に表現されたイラスト



映画監督・三島有紀子さんによる異例のショートフィルムが公開!

8×8マスの盤上で命を懸けた闘いが繰り広げられ、チェスと人生がドラマティックに交錯する本作に心を動かされた一人が、「幼な子われらに生まれ」などの作品で知られる映画監督・脚本家の三島有紀子さんです。

トオル役を務めるのは、現在TVドラマ「いちばんすきな花」(フジテレビ系)に出演中の泉澤祐希さん。ノブオ役は、俳優業を中心に、舞台衣装家や服飾デザイナーとしても活動する岩男海史さんが演じます。音楽の作詞作曲は、アーティスト「奇妙礼太郎」のプロデュースを手掛け、映画やCMなどさまざまな分野の楽曲を手掛けてきた早瀬直久さんが担当しています。

三島監督は、「限られた駒で勝負するチェスという競技、盤面に命を捧げる人たちの人生の一瞬に向き合いたいと思いました。泉澤さん、岩男さんの緊迫したひたむきな演技、彼らの感情に寄り添った早瀬さんの素晴らしい楽曲に支えられてできあがったこの短い映像が、小説で表現されている刹那の感情からこぼれ落ちた“カケラ”となっていれば幸せです」とコメントを寄せています。

人生を賭けた盤上の戦いに向かう彼らの姿が3分に凝縮された、短いながらも見ごたえのある映像となっています。ぜひ小説とあわせてお楽しみください!




著者は20年かけて作家デビューを果たした石井仁蔵さん

『エヴァーグリーン・ゲーム』の著者は、塾講師をしながら、作家デビューを目指して20年以上小説を書き続けてきた石井仁蔵さんです。石井さんは、本作に込めた思いを次のようにコメントしています。

本作はチェスに打ち込む若者たち、チェスに救われた者たちの物語。
チェスがいかなる面白さ、奥深さを持つものか、多くの人に伝えたいと切望しています。
そして、私が描きたかったのは、もうひとつ。
何かひとつのことに打ちこめれば、人生はきっと実りあるものになるということ。
私自身も約20年、小説の投稿に明け暮れた人間です。「初めて書いた小説で受賞してデビュー」というような、スマートなあり方とは程遠く、光の見えぬ沼の中を這いずり回ってきた人間です。今もなお新たな小説を書きたいともがく、この生き方に呪われた人間です。分野や境遇や生き方は違えど、そんな風に何かに取り憑かれたやつらはきっと、沢山いると思う。私は、そんなやつらを肯定したいと思う。
この小説が、そんなやつらに届くことを願っています。


■著者プロフィール

石井仁蔵(いしい・じんぞう)
1984年生まれ、新潟県出身。東京大学文学部卒業。『エヴァーグリーン・ゲーム』にて第12回ポプラ社小説新人賞を受賞。


 


『エヴァーグリーン・ゲーム』特設サイト では、作家や大学生チェスサークルからの応援コメント、試し読みなどが公開されています!





(記事/ほんのひきだし編集部)

※本記事は「ほんのひきだし」に2023年11月2日に掲載されたものです。
※記事の内容は、執筆時点のものです。