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『キャバレーに花束を 小姓町ソシュウの物語』の著者 渡辺大輔氏に聞く

 

※一部表現・肩書き等に掲載誌発刊時点のものがある場合があります。


編集部 この本を出版したきっかけはどんなことだったのですか。なぜ小姓町にあったギャパレー・ソシュウだったのかという辺りから。

 

渡 辺 私は二〇一一年四月にこの小姓町で「記念日」という料理店を出したのですが、開店の日からしばらく一人も客がなくて、通りに出ても誰一人歩いている人がいないことに愕然としました。たまたま向かいの店のマスターも通りに出てきていて、小姓町が昔は大いに販わったという話を聞きました。特にソシュウというキャバレーには百人もホステスがいたと言うのです。「昔はよかった」と決まり文句のように人は言うので、徐々にソシュウに興味をもつようになりました。

一昨年、燻製醤油の販売店をセブンプラザに出したところ、そこで会った女性から彼女のお兄さんがソシュウでアルバイトでギターを弾いていたという話を聞きました。そんなことがあったりして昨年二月にセブンプラザの空きスペースを利用してキャパレーを再現するイベントを催しました。

 

編集部 本誌でも季刊第二十四号でご紹介しましたね。”懐かしのキャパレーの仕掛け人”というタイトルで……。

 

渡 辺 あのイベントでグランドキャバレーというのが昔あって夜の街が賑わったということを多くの人に知ってもらえたと思います。ソシュウでエレクトーンを弹いていた人やホステスをしていたという女性、支配人をしていたという人、アルバイトをしていたという人などいろんな人と出会うことができましたし、皆さんにとってもかつてのご自分を懐かしく思い出して頂ける機会になったと思います。会場で昔のようにダンスをしている高齢者の人達の姿を見て惚れ惚れとしました。ほんとに懐かしい紀憶を呼び覚ますパワーで漲っていました。音楽があってダンスがあって、当時を見たような擬似体験させてもらいました。今でもイベントは大成功だったと自負しています。

 

編集部 お店の開店、イベント開催、そして出版へと、実談に本を出すということにはどんな思いがあったのですか。

 

渡 辺 もちろん私はソシュウを知りません。小姓町やソシュウについていろいろ調べてみましたが、特にソシュウについては文献が見当たらず、これはもう知 っている人から聞くしかないなと思い、ソシュウの関係者やイペントで出会った人に聞いてみることにしました。あと五年か十年かしたらまったく聞けなくなるのではないかという気持ちありました。そんな気持ちがつのって、いつか始めればいいというような悠長な気持ちではいられなくなりました。小姓町に店を持っていてイベントもして、いろんな人に会ったのだから今こそ自分が書く時ではないのか。つい最近もいくつかのお店が閉めました。もしかしたら小姓町はこの一年でなくなってしまうのではないか、そんな危機感を感じるようになりました。そんな中、ソシュウが昭和三十二年(一九五七)五月十六日にオープンしてから今年でちょうど六十年ということを知り、それに合わせて出版しようと決意しました。

 

編集部 二十四人の証言が掲載されていますが、苦労したことはどんなことがありましたか。

渡 辺 実際は四十人位に当たったのですが、話したい人、話したくない人など樣々でした。本になるということを期待してくれて口を開いて顶けた人もいました。話してくれた人にはとても勇気づけられました。しかしいざ書こうとすると、作家を目指していた若い頃からのブランクを取り戻すのに苦労しました。それで一から文章の書き方や出版の予備知横などについて勉強しました。また多くのソシュウを知らない人が読むことにもなるので、できるだけ専門用話や固有名詞は使わないようにしました。個人名でもプライパシーに配慮したり、書きたいことと書けないことのバランスを常に心掛けて書きました。それでも取材した皆さん、エピソードをたくさんお持ちでした。もしかしたらもっと面白く書けたかもしれないと思ったりしていますが、そのギリギリのところを目指して書き上げました。

編集部 では最後に、読者に向けてひとことPRをそうぞ。

 

渡 辺 これを読んで懐かしく思って頂ければ充分満足ですが、ソシュウを知らない人も昔の熱気のある雰囲気を感じ取って自分たちも負けていられないぞと思ってくれたらいいなと思います。ぜひ読んで、また小姓町に訪れてみてください。

 

(出典:『やまがた街角 第81号』2017年6月1日発行)

※ 2022年4月27日 渡辺大輔さんの最新刊『さよならデパート』が出版されました。

※『キャバレーに花束を 小姓町ソシュウの物語』の取扱いについてはこちらよりお問合せください。


 

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