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庄内の名所 庄内空港緑地

伊藤 浩一(文芸酒田代表)

※一部表現・肩書き等に掲載誌発刊時点のものがある場合があります。


 日本海の落日は雄大だ。少年の頃にみた、あのギラギラ燃えたぎるような夕陽は滅多に見られなくなったけれども、水平線に刻一刻と姿を落とす太陽と、すべての終末を予言するかのように色を染め る空と海はやはり人を厳粛にする。

 広大な庄内空港緑地は、そんな落日を見る新しいスポットといって良い。「タ日の丘」からの眺望はまさに絶景だ。

 酒田、鶴岡両市のほぼ中間に位置する庄内空港そのものは二千メートル滑走路のある変哲のない地方空港に過ぎないけれども、周囲を取り巻く白砂青松と六十ヘクタールに及ぶ緑地のため、殊のほか美しい空港となっている。日本一の空港と絶賛する旅行者も数多い。

 緑地はいわば空港緩衝地であり、航空機の騒音を少しでも和らげようという樹林地なのだが、地域のコミュニティ拠点、憩いのオアシスとしての機能も充分に果たすものになった。

 六十ヘクタールの緑地は、 滑走路を囲むようにして、「花のゾーン」「スポーツ・ ゾーン」「前庭ゾーン」「ファミリィ・ピクニック・ゾーン」「緑の散策ゾーン」の五つに分かれている。

 このうちターミナルに近い「前庭ゾーン」には、まつりの広場、砂丘の広場、つどいの広場、風紋の広場といった空間が並ぶ。

 〈砂丘の広場〉はゆるやかに起伏する芝生の築山を連続させながら砂丘のイメ ージを演出した。広場内には展望台のほかシーソー、滑り台、ブランコなどの遊具も多く、土・日曜など家族連れで大にぎわいする。東京や大阪に飛び立つ航空機を見送りながら、子どもを遊ばせる若い家族の喚声が終日、こだましている。 また、ゾーンの中央には野外ステージと円形広場があり、各種の催し物に対応できるようになっているのもいい。ここでシェークスピアの野外劇やジャズ・コンサートがしばしば催されるようになれば素晴らしいことだ。

 滑走路のすぐ南側「花のゾーン」には幅八十メートル、長さ一キロに及ぶ花畑があり、春は菜の花、秋はコスモスが咲き乱れる。

 空港から県道をはさんだ向かいには 「庄内オートキャンプタ日の丘」がある。高台の展望台から日本海の落日を鑑賞しながら、東京最終便の航空機を見送る人々の姿も毎日見受けられる。

 緑地全体が樹林地帯だけに木が多く、庄内特有の松や桜が全体を覆うほか、トチノキ、ナラ、コブシ、ムクゲ、ヤマモミジなどが緑地全体を囲むようにして生い繁る。

 昼に夜に、恋人たちが木陰に寄り添い、若者のニュー・スポットにもなっているようだ。周辺の湯野浜温泉、いこいの村庄内などに訪れたとき、足をちょっと伸ばして、夕陽を眺めるのもいいかもしれない。新しい庄内の名所だ。

 

(出典:『やまがた街角 第14号』2003年10月1日発行)


 

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